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疲れたあなた必見の「脱力系スーダラプロジェクトXドキュメンタリー@ウクライナ」2007年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で市民賞を受賞,一部で公開が熱望されていた「ピロペンコさんの手づくり潜水艦」(ヤン・ヒンリック・ドレーフス&レネー・ハルダー監督,受賞時の邦題は「ミスター・ピリペンコと潜水艦」だった)が遂に,渋谷シアター・イメージフォーラムほかで10月下旬より上映されることになった。昨日その試写を観る機会に恵まれたので,以下にレビューを掲載する。
ウクライナと聞いて,ぱっとそのクニの場所や形が頭に浮かぶヒトは多くないと思う。かく言うワタシもダメで「確かカスピ海に面してて……」と言ったあたりで「ブー,面しているのは黒海です」と。地図で見るとなるほど黒海の北にあって,東でロシア,北でベラルーシ,西でポーランドとルーマニアと接しているここがウクライナか。
本編主役のウラジーミル・ピリペンコは62歳。1991年までソ連の一部だったこの国の片田舎エヴゲイニフという村に住み,定年までコルホーズ(集団農場)でクレーンの運転手をしていた。妻アーニャとの間にできた2人の子供は独立し,陸軍士官学校に入ったばかりの孫の成長を楽しみにしながら,犬やアヒルに囲まれて悠々自適の年金暮らし……かと思いきや!?
実はピリペンコには夢があった。それは70年代の雑誌「水中スポーツマン」に載っていた小型潜水艦の設計図。これを発見してからの30年間,彼は余暇のすべて,自由になるお金のほとんどを潜水艦を手づくりすることに掛けてきた。「イルカ号」と名付けたこの潜水艦でいつか黒海に潜ってみたい……。
町外れの池での試運転に成功したピリペンコは,親友セルゲイの運転するトラックにイルカ号を積み込み,400Km離れた黒海を目指して南下する。果たしてピリペンコ氏の夢はかなうのか? はたまた黒海の藻くずと消えるのか?……思わず予告編風のアオリを入れてしまったが,全編通じてそういう緊張感はまったくなしである。
いやもちろんご本人はとってもとっても大真面目で一所懸命なんだけど,自家製のキュウリ持って行って「パーツの金,足らない分これでダメ?」とか,池で魚の養殖を始めながら「サカナは放して,エサをやって大きくして,また穫らなくちゃならねぇからめんどくさい」とか,とにかくニンゲンのありようが根本的にスーダラだし,劇映画ぢゃなくてドキュメンタリーだからと言えばそれまでだけど,カメラの前を脈絡なく村の動物が横切るし……。
もともとのキャッチの翻訳なのか,それとも日本の宣伝スタッフが作ったのかわからんが,チラシにあるキャッチ,「ちゃんと,いいかげんに生きる」ちうの,まさしくその言葉通り「脱力系スーダラプロジェクトXドキュメンタリー@ウクライナ」。日々の暮らしに疲れてるあなた,必見であります。
http://blog.goo.ne.jp/xemem/e/aa5b0b1d23beb3fc419e439493c98dcc